90年代以降、現在に至るまで、記憶や認識の曖昧さをテーマに、なにかを明確化することや、なにかに結論を出すことへの違和感を、完全にピントの外れた写真表現を通して発表し続けてきた浜田涼。
「とぼとぼと」「ふりむく」「かぞえる」「すきとおる」「なか」「にわ」「さがしもの」「あたらしいばしょ」の8シリーズ(カラーイメージ約109点)から成る本書は、全てがカメラで撮影されたイメージであり、画像処理に頼らず、レンズ本来の機能のみで制作された「ぼんやりした写真」が収録されている。
"最初、絵を描く資料集めに使っていたカメラが、いつの間にか制作に必須のものとなった。資料集めにカメラを使う以前は、ちゃんとピントを合わせたスナップ写真を撮っていたものだが、資料集めを始めてからはなぜか色と形が写っていれば問題ないと感じていた。それからずいぶん年月が経つのだが、今は、"問題ない"どころか、はっきりしてしまったら意味がないと思っている。"
自我という焦点から解かれるとき、群衆のひとりでもあるわたし(=あなた)たち──、いろんなものの端っこが混じり合いぼんやりとして曖昧なものだらけで出来ている日常生活を、抽象的で中間的な浜田涼の視覚表現は現していく。フィルムの時代からピントがぼんやりしたレンズで撮るという自身が決めた撮影ルールに従いながら、シャッターが切られ現れる写真は、"物事を鮮明に明確にすることが求められる"社会からとぼとぼと離れ、ぼんやりと静まりかえった光景へと、わたしたちを誘っている。
出版社:AKAAKA
刊行年:2023年
ページ数:160
サイズ:H252 × W188 mm
フォーマット:ハードカバー
言語:日本語、英語
状態:新刊
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